古来、夜は魔の領域だった。
 わずかな星明りと月明かり。それだけが夜を照らす時代だった頃、そこは人のほうこそが異物となる異界だ。その世界では魑魅魍魎、悪鬼羅刹が跋扈し、餓鬼が屍肉のお零れを預かる。
 もしもその世界に異物である人間が迷い込んだら、その世界の住人によって排除される。

 しかし、そうやって住み分けられていたはずの世界は日に日に曖昧になっていき、仕舞いには魔の領域であったはずの夜の世界は人間に侵略され、いまや平然と星や月以外の明かりを掲げて跳梁するようになった。
 追いやられた魔は段々とその姿を隠し、人間たちの間からその存在を忘れ去られていった。

 大正の世。
 もはや魔が迷信の存在として取り扱われ、信じられなくなった世界。
 夜の世界ですら光に照らされてしまった世界。
 だが、それでも未だに魔は存在する。無作法な侵入者たちを戒めるかのように襲い、その姿を現す。
 人はその存在を信じようとはしない。不可解に思いながらも、その先にあるものに蓋をして忘却してしまう。幾度となく怪異がその存在を人々の前に現れようとも、見た者はソレをまやかしや錯覚に貶める。
 だから魔にとって、確かに今の世界は居場所を失っているものも、決して居心地の悪い場所ではない。何をしようとも人はソレに対してろくな対抗手段を持たず、また講じようともしないのだから。


 例えば、夜の銀座をベロンベロンに酔って歩いている古寺ふるでら弥四郎やしろうという名の男。
 数ヶ月前に起きた大震災で仕事先が文字通り無くなった彼は、その後同様の理由から人手が足りなくなっていた建築関係の会社に下働きとして雇ってもらっている。大工の技術も建築に関する知識も無い弥四郎には当然建築そのものには関わらず、経理やその他の雑務として働いている。
 昔の仕事に比べると随分な扱いの違いがあるが、自分でも意外なことに不満を抱いては居ない。雑務とは言え、それでもこの滅茶苦茶に壊れた帝都を復興する手伝いを僅かばかりとは言え関わっているという奇妙な高揚感があった。
 今日はその職場の忘年会。今年も残るところあと僅かとなったこの時期に、一年の間に溜まった垢を落とす宴だ。
 普段あまりアルコールを取らない弥四郎もこのときばかりは浴びるように飲んだ。と言っても、所詮は弥四郎本人の基準での話で、実際に飲んだ量は周りに居る酒豪の同類とは比べ物にならない。それでも本人が足取りが危なくなるまで飲んだのは事実であり、歩むその足は触覚を取られたアリのように不確かだ。
 生憎タクシーを使えるほどには余裕を持てる財政状況ではない。弥四郎の自宅はこの銀座から一駅にある筑土町つくどちょうのため、例え酔っていても十分に帰れる距離ではある。ただ、ここまで酔っ払って帰ったら家で待つ妻に文句の一つも言われるだろうが、そこまで考えが回るほど思考能力は残っちゃ居なかった。せいぜい子供たちは既に寝てしまったなと、思うくらいだ。

 だから気が付かない。
 普通ならば気が付いていただろうに。いくら夜だからとは言え、いまだ深夜とは言える時間ではない。それなのに――人の姿を一人としてみていないと言う違和感に。
 弥四郎が最初に気が付いた違和感は音だった。最初は犬か何かのうなり声かと思ったがどうも違う。生物が発するような音とは違うもっと重低音の響きだ。すぐにそれが自動車のエンジン音だと気が付いたが、そんな珍しいものに何故違和感を感じたのかと言う疑問がついで沸いて来た。
 答えは至極簡単。他に物音がしない静まり返ったこの世界で、その音だけが猛ったように鳴っているからだ。
 やがて音だけではなく、光る目のようなヘッドランプがガタガタと揺れながら近づいてくるのが見える。

(そう言えば、最近ここら辺で当て逃げ轢き逃げが多いとか言ってたな)

 連続して起きており、おまけにその自動車が未だに捕まらないことから同一犯による意図的な犯行だと言う説もあるとか。家でそんな話をされ、あんたは注意力に欠けるんだから気を付けなよと、注意された。
 そのとき一緒に聞かされた話で、その犯人の正体が未だ何の足取りもつかめないことからあの赤マントではないかと噂されているとか。
 馬鹿馬鹿しい話だと思った。そんなものが実際に居るわけが無い。お化けだの怪人だのと言うのは所詮はまやかしだ。確かにあの世間では大地震とされたバケモノ騒動では信じられないことがいくつも起きて赤いマントを羽織った連中が出たが、あれも結局は軍の一部が暴走したに過ぎないと言う。
 当たり前だ。今のこの大正の世にそんな訳の分からないモノが居るはずが無いのだ。

 そう、昔ならばそう言った話を聴けば、人は恐れその場所に夜近づくようなまねはしない。
 だが、そういうものに蓋をした現代では与太話にしか聞かず、平然とその場所を訪れる。事故が多いらしいから気を付けようくらいの注意だけすれば良いほうだ。
 だから出会ってしまう。回避することも出来たであろう怪異に。

 エンジン音に紛れて不愉快な音程の声が聞こえた気がした。
 いや、紛れてと言うよりもエンジン音そのものが、まるで何かを叫んでいるように聞こえる。

(さすがに飲みすぎたかな?)

 弥四郎は少し熱した頭を抑えて前方の明かりに目を凝らす。
 その行為に意味は無かったが、そのお陰がアルコールの作用で赤くなっていた顔が一気に蒼褪めることになった。

 それは妙なものだった。
 確かに街で走っているのを見かけることのある自動車ではあるのだが、その姿は異様だ。
 あんな姿で走れるわけが無い。タイヤは割れて直接ホイールが地面を転がり、ベコベコに鳴ったフロントから覗くエンジンは錆び付いて奇妙な形に歪んでいる。他にも細かい歪みを上げたら切が無いが、何よりも決して走れるわけが無い理由は、その割れたフロントガラスの向こう――運転席に誰も座っていないことだ。

 そんなモノが走れるわけが無い。少なくとも弥四郎の知識の中ではそんな物は存在しない。
 ソレなのにそれは、今やハッキリと聞き取れる不快な叫びを上げて一直線に走ってくる。

「うおぉぉおれは伝説になるうぅぅう! だあぁあれもうおぉれの前をぉお走ることはぁぁあ許ぅさねえぇぇえぇえ! だぁあけどぉおおぉ歩くぅことはあぁぁああ許しぃてやあぁあるうぅぅうう」

 笑うようにその車体をガタガタ揺らしながらも、法定速度上等とばかりの速度で突っ込んでくる。このままでは間違いなく弥四郎はアレに轢かれて哀れな犠牲者の一人となるだろう。
 逃げなければならない。本能は生存するためにそう訴えているが、人間の脆弱な本能では恐怖にすくみ震えるだけの身体を動かすだけの力を持たない。ただ、眼前に迫る鉄の塊の怪異を成す術なく、見つめるしかない。

「うおぉおまえぇえぇええ! うおぉおおれの前に立つなあぁぁああ」
「ヒッ」
「赤色がなんだぁあぁああ! やあぁぁあつがさぁあん倍ならうおぉぉおれはごぉお倍だあぁぁああ! うおぉぉれが一番はあぁああぁあやく走れるんだああぁぁああ」

 もはや出会ってしまった以上、弥四郎に――人間に対抗する術などないのだから。
 ゆえに先人たちは出会わぬように避けてきた。その知恵を忘れた今の人間にそれを防ぐことなど出来ない。

 轟音と衝撃。
 弥四郎の意識はそれを聞く事無く途絶した。
 その僅かな瞬間に弥四郎の目に映ったのは、スピンしながら弥四郎をそれて吹き飛ぶ自動車の怪異と、黒い黒い影。闇夜に融けるような黒ずくめに浮かぶ白い顔。西洋で伝わる死を運ぶ神――死神の姿だった。

「ビイィィイリビリするぞぉおお!? だぁぁあれだ、うおぉおれの走りを邪魔する奴はあぁぁああ」
「オボロ車か。 噂の正体は赤マントでなくお前だったんだな」

 撃ち込まれた弾丸が発する冷気に機能を一時停止するオボロ車を見据えて死神は口を開く。
 その姿を見て無機物で構成されているずのオボロ車の全身を、撃ち込まれた弾丸よりも強い衝撃が、全身を走る寒気よりも激しい冷たさが――恐怖が駆け抜ける。

「そぉおの黒いマントはあぁぁあ! うおぉぉおまえ! あのときの紛らわしい奴かああぁぁああ」

 怪異を忘れた世界。それでも中には例外もある。
 古来から現代に至るまで、決して魔の存在を忘却する事無く、その脅威と畏敬を抱き続け対抗する術と意思を持ち続けてきた者たちがごく僅かだが、それでも確かに存在している。

「そうか、お前はあのときのオボロ車か。 あの時は見逃したが人に害を及ぼす以上、今回は見過ごすわけには行かない。 自分の不始末は自分で刈り取るとしよう」

 その中でも本来なら敵対する魔を操り使役する者たちが居る。
 人でありながら魔を使役し、人のために魔を討つ者。

「十四代目葛葉ライドウ――これより討伐を開始する」

 悪魔召喚士――デビルサマナーと呼ばれた。




デビルサマナー葛葉ライドウ外伝
 「襲来! 赤マント再び!?」




 矢来区やらいく筑土町。
 昔ながらの建築物と西洋建築のビルディングが融合するこの街では銀座ほどの賑わいはないが、それでも地元の人間の活気が満ちている。
 そんな街の横を流れる軽子川に面した場所に立つ、筑土町最大のビルディングの中に鳴海探偵事務所はあった。
 内装は狭いながらも綺麗に整頓されており、置かれている家具も地味ではあるが決して安物ではない。とても家賃を滞納しているとは思えないのだが、それでも三日に一回くらいは大家からの催促は既に恒例となっている。
 その部屋の主である鳴海は窓に背を向けた己の席に座ってライドウの報告を聞いていた。

「そうかぁ、結局赤マントじゃあ無かったんだな」

 鳴海の言葉にライドウは、やはり自分の定位置である手すりに背を預けながら頷いた。

 今から数ヶ月前。世間では大地震と発表された帝都を壊滅一歩手前に追いやった大事件があった。その実態は大地震などではなく、ましてや政界や世間で言われているような軍の一部による暴走でもない。
 確かに帝國陸軍少将宗像むなたかが発案した『超力兵団計画』がその軸にあったが、そのときには既に宗像の意思は無く、彼に憑依した国津神スクナヒコが計画を進めていた。
 スクナヒコはかつて天津神に蹂躙された恨みを晴らすために天津神が創りしこの日本を破壊するために、日本を守るために宗像が考案した『超力兵団計画』を利用しようと目論んだのだった。
 しかし、それすらもある人物が自身の目的のために利用したに過ぎなかった。
 その人物は鬼憑きと呼ばれた、ある一人の少女に憑いた遠い未来より来たと言う、何十代と後の葛葉ライドウだった。彼は遠い未来、人間を管理し、個人を抹消し全体を生かす完全なる秩序の上で構築された世界を消すために、この過去で歴史を改竄しようとスクナヒコを使役し、宗像の『超力兵団計画』を利用した。
 だが、そのどの計画をも失敗した。あえて成功を上げるとすれば宗像の日本国を守ると言う信念だろう。その信念は別の形でそこに住む人々がしっかりと貫いた。

 もう一人の葛葉ライドウ。彼がどんな悲惨で地獄のような未来から着たかは誰にも分からない。
 だが結果的は彼の過去を変え未来を救うと言う目的は、今を生き未来を創ろうとする者たちに阻まれた。

 その計画の要を担っていた存在がヒルコ因子に取り付かれた人間、赤マントの名で帝都を騒がした怪人の存在だった。
 それもあの未曾有の大災害を巻き起こした事件の解決を持って消え去ったはずなのだが……。

「ふーん、それじゃあやっぱり赤マント目撃例は間違い……なのかねえ」

 今度の言葉にはライドウは答えず、難しい顔で押し黙る。

 ここ最近で消えたはずの赤マントの目撃例が急激に増えた。事件解決後もそういう噂はあった。ただしその全てが人騒がせな出鱈目な嘘だったり、不安から来る見間違いだったりしたのだが。

「今になって急増したのは不可解です。 それに朝倉さんの写真もあります」
「写真って言ってもこれだけじゃあなー」

 鳴海は胡乱な目でディスクの上に置いてある一枚の写真へと視線を落とす。
 それは知り合いの女性記者朝倉タエ(本人はペンネームの朝倉葵鳥と呼ばれることを熱望している)が今から四日ほど前に偶然に筑土町で撮影した写真だった。そこにはぼやけているが赤い物を纏った人型の何かが写っている。確かにそれだけでは本当にあの赤マントかどうかなど判断のつけようがないのだが、肝心なのはその赤マントと目されるモノが写っている場所だ。

「しかし、ただの人が空を飛びはしないでしょ?」

 そう、その写真に写っている赤い人物は夜空に高く飛んでいた。その高さは人が飛ぶには高すぎる。

「だからただの人間でなくとも違う悪魔とかさ」
「その可能性が一番高いでしょう。 なによりそうであることが望ましいですが……一応今後もこの件は追ってみます」

 鳴海は背もたれに体重を預け、真面目だねえと、ライドウを見て呆れたように笑う。

 そうは言われてもライドウは自分が真面目だとかそんな風には思えない。ただそれ以外の何も知らないだけだ。
 帝都を守るために修練を積み、ライドウの名を襲名した後はその何かせられた使命の通りに帝都を奔走する。
 その与えられた使命を全うするだけのあり方は、むしろ真面目とは反対に位置するのではないかとも思う。そういうあり方に不満は無いものも違和感のようなものは覚えている。
 だが、それだからと言って変えようと思わないのはやはり怠け者の証ではなかろうか。

 お目付け役だったあの黒猫が聞いたら何と言うだろうか?
 そんなことを想い、彼に珍しく一人苦笑を浮かべる。

「そんなに根詰めて仕事ばっかりしてると早死にするぞ……ってな訳でたまには息抜きなんてどうだ?」
「息抜きと言うと、また麻雀ですか?」

 表面上は無表情を飾るが、そのうちには暗澹たる気分が押しかかる。
 別に麻雀が嫌いなわけでもないし、出来ないわけでもない。誘われた当初はまだまだ不慣れで役を憶えるのに必死だったが、慣れてくれば悪魔召喚士として培った勘が働くのか勝てるようにもなってきた。
 だが、問題はその後だった。最初は余裕を見せていた鳴海だったがライドウが勝ち始めると次第にその顔に脂汗が流れ始め、仕舞いにはライドウが勝負に勝ったと思ったとたんに持病の発作とやらが起きるようになった。その場合、倒れ付した鳴海の性で卓の上の牌は滅茶苦茶にされてしまう。

 そんなライドウの想いとは逆に、鳴海はいかにも上機嫌ですと言った笑顔を浮かべている。ここまで機嫌の良さそうな顔は、ライドウが憶えている限り短い付き合いの中で始めて見るかもしれなかった。

「息抜きと言われて真っ先に思い浮かぶのが麻雀くらいだなんて実に寂しい男だな、お前も。 いやいやそれが悪いと言っているんじゃないぞ。 ただそんなんじゃ人生は詰まらない。 世の中にはもっと愉しいこともあるんだ。 そうは思わないかライドウ?」
「はあ」
「はははっ、生真面目なライドウには分からない話かもしれないなあ」

 確かにライドウには鳴海が何を言いたいのかさっぱり分からない。

「しかし安心しろライドウ。 お前みたいな木の股から生まれたような奴にでもチャンスと言うのは訪れるものだ。 さすがは八百万の神々がいる日本国。 神の救いの手なんて有り余るほどあるもんだな」
「そういう解釈が出来る人は初めて見ました」

 と言うか、今後もお目にかかることはないだろう。正しく希少だ。

 その希少な存在はなにやら自分のディスクの引き出しからもったいぶる様に一枚の紙片を取り出す。――いや、それは紙片などではなく、どうやら真っ白な封筒のようだ。
 これが神の救いの手なのだろうか?

「それは?」
「これはなあ、昨日お前が留守の間に伽耶かやちゃんが持ってきたパーティーの招待状だ」
「伽耶さんが?」

 大道寺だいどうじ伽耶。先に述べた事件の発端にあった鬼憑きの少女。
 事件の中心に居ながらも、自分の意思を所持していなかった――出来なかった少女。
 事件の加害者であり最大の被害者だった少女。

 事件解決後も鳴海探偵事務所とは交流を持ってはいたが――。

「一体何のパーティーです? 探偵事務所風情が良家のパーティーに呼ばれるとは思えませんけど」
「……言ってくれるな、ライドウ。 だがなこれはそんな公的なお堅いパーティーじゃない。 個人的なパーティーだ」
「個人的な?」

 個人的に開くパーティーと言うのはいまいちライドウにイメージが沸かない。
 それでも知識の上では良家では誕生日などに盛大なパーティーを開いたりすると言う話は聞いたことがある。ただし伽耶の短の常備は随分前だったと思う。なにせそれがあのときの事件の始まりなのだから。

「くりすますパーティー、だそうだ」
「ああ、そういうことですか」

 外来から来たそのイベントは、今では一般市民の間にも浸透してきて商売にも影響を及ぼしてきている。金王屋もそのために最近は忙しいらしいことを言っていた。街を出歩いてみれば確かにソレらしい装飾も見受けられる。
 もとより良家の大道寺家でそういう催しがあっても不思議ではないのかも知れない。

「それでも何で俺たちが?」
「不満なのか?」
「そういうわけでは無いですが」
「良いじゃないか、折角の女の子からのお誘いなんだから受けといて損は無いだろ。 お前はもう少し社交性というのを学ぶべきだと思うぞ。 そんなんじゃこれから先探偵業だってままならない」

 それは、確かに先ほどまで考えていた懸念事項ではあるが、いくらなんでもタイミングが良すぎる話の流れだ。最初からそういう目論見での話の流れだとしたら、まだまだライドウの鳴海に対する認識は甘いことになる。

「まったく、どうせ出るなら赤は赤でもクリスマスなんだからサンタクロースでも出ろって言うんだ。 俺みたいな真面目で勤勉な人間にご褒美を持ってきてくれれば良いのになあ。 そうは思わないか、ライドウ」
「サンタクロースにプレゼントを貰えるのは子供だけでしょ」
「解ーてるよ、言ってみただけだ。 ホントに面白味のない奴だな。 それでどうするんだ、お前は」

 結局その件に関しては「考えておきます」と、ライドウには珍しく曖昧な返事で逃げた。





 赤マントはその生態上、宿主となった人間のストレスに起因するものを破壊しようとする。体内に入り込んだヒルコ因子は宿主の脳が分泌する不安抑制物質を餌として食らうため、宿主の不安は際限なく溜まっていき、最終的には憎悪すら憶えて対象を無意識のうちに破壊しようとする。
 そのためその破壊対象から寄生された人間もある程度は絞り込むことが出来る。

「家屋、ですか」
「ああ、ここ最近で――つうか昨日も起きたばっかりだが、とんでもない馬鹿力によって起こされた器物破損はそれくらいだな。 もっとも、電車やら自動車で突っ込んで破壊して、その後にその痕跡を完全に消せる人間の仕業って説もあるがな」

 ただでさえ凶悪犯罪者と見間違えられる面構えを更に不機嫌に歪ませて風間刑事は言う。

 もし本当に赤マントが再び姿を現しているのならば、人間では成し得ないような事件が起きているはずだ。そこで、一番そういう情報が集まりそうな場所――即ち警察部の知人を当たることにしたのだが、どうやらその結果は当たりのようだ。

「ふん、しかしお前がそんなことを尋ねてくるなんざ、また厄介な事件でも起きるのか」
「いえ、今回の事件は多分ただの後始末です」
「そーかい。 だが後始末を疎かにすればもっと大きな事件が起きかねないから気張っていけよ」
「ええ、かならず禍根は残しません」
「まったく、片っ端からワッパ掛けてぶち込めば面倒がなくて良いんだけどな」
「さすがにそれは……」

 物騒な極論を振りかざす風間刑事に礼を言って別れ、ライドウは教わった事件現場に赴く。赤マントは衝動的に破壊を行う、決して知能犯と言うわけではないので現場には足取りが掴めそうなものが落ちている事が多い。現場検証は刑事だろうが探偵だろうが関係なく最も基本的な捜査方法だ。

 やはりと言うか、街中にはどこか浮かれた雰囲気が漂っている。それが年の瀬が近いことによるものなのか、それとも目の前に迫っている西洋から渡って来たクリスマスというイベントによるものか。あちこちの店ではその両方を視野に入れた商品展開や客の呼び込みをしているようだ。
 先ほど通りですれ違った親子もクリスマスらしい会話をしていた。

「クリスマス・パーティーか」

 正直、あまり気乗りはしていない。
 葛葉ライドウが神道系の力を使うとかそういうことに関係なく、そういう催し事態が苦手だった。鳴海が言うようにあまり自分が面白味のあるような人間ではないことは承知している。自分のようなものが参加したところで場違いで浮くだけだろう。
 それに今は、行く行かないどちらにせよ、何にもまして優先すべき任務がある。
 そもそも赤マントの捜索と討伐と言う任務がその日までに終わるとも思えないので、やはり不参加と言う形を取ることになりそうだ。

 その事件現場には、確かに破壊された家屋の残骸が山になっていた。
 あの超力兵団事件の後はこう言った光景はあちこちで見られたが、今ではだいぶ復興も進み活気も取り戻し始めている。
 ――いや、活気だけはいつでも満ち溢れていた。例え巨神に街を破壊されようともそこに住む人々は決して挫けなかった。そうやって人の手で復興していく帝都の様子を見ていると、そこに住む人々の情熱こそがこの帝都を形作っているものだと言うことを実感させられるよう。

 自分には無理だ。
 きっと自分はこの帝都を形作る役割は担っていないのだろう。

 それでも構わない。
 自分には帝都を作ることは出来なくとも、それを守る力はある。

 ライドウはマントの下から銀色に光る細長い棒状のものを取り出す。金属が放つ鈍い輝きを反射しながらも、それからは奇妙なことに力強い鼓動を感じられる。

「――、――、――――、――」

 ライドウはそれを手に何かを口の中で呟き始める。それは例え近くに人が居ても聞き取れるか怪しい程の小さな呟きだった。それに例え聞き取れたとしてもその意味を理解できるものがどれだけ居るだろうか?
 それは祝詞だ。
 その力ある言葉に応えるように棒状の金属の上部が発光と共に蓋が開き始める。この棒こそが、古来より管狐などを代表とするデビルサマナーが使役する悪魔――仲魔が封じられし管だ。

「現れよ」
「男は度胸おおぉぉ! 悪魔は酔狂おぉぉ」

 発光と威勢の良い啖呵と共に姿を現したのは、ライドウよりも二周り以上も大きい巨大すぎる蜘蛛だが、その大きさもさることながらただの蜘蛛なわけが無い。その顔には巨大な口と牙、それに二つの大きな角――鬼の顔が張り付いている。

 雷電族ツチグモ。
 日本古来の土着の鬼神だ。

 悪魔は一般の人間には見えない。異界のような魔の領域においてや、相手側にその意思がある場合は別だが、そうでない場合は例え横を通り過ぎようと風が通ったか程度に思われるだけだ。そうでなければ、こんな往来で悪魔を召喚しようものならそれこそ大混乱を招くことになる。

「ヨォ、ライドウ今日は何のようだ? 久しぶりに大暴れでもさせてくれんのかい」
「すまないな、今日はただの調査だ」
「カー、しけてやがんな。 まあ良い、それでオレは何をすれば良い?」
「犯人に繋がるものが欲しい。 足取りがつかめそうなものを探してくれるか」
「誰にモノを言ってやがる。 まかせなっと」

 ツチグモの身体から電気が奔る。
 ただしそれでは、戦闘時に発する悪魔にすら効果的な強力な雷撃ではない。人にすら害を及ばない極々微力な電気がツチグモを中心に当たり一体に奔る。人にすら害を与えられない微弱な電気だが、それによって僅かながらでも魔力を宿したものを見つけ出すことが可能レーダーの役割を果たす。

「ん? どうやらあったみたいだぜ」
「どこだ?」
「あの瓦礫の下よ。 待ってろ、今持って来てやる」

 ツチグモはその太い爪がついた節足を器用に操り、瓦礫の下に埋もれていたものをライドウに差し出す。どうやらこの悪魔、口は悪いが中々面倒見が良い悪魔のようだ。

「ほらよ、次は暴れさせろよ」
「保障は出来ないな。 だがそう遠くないうちに力を借りる」
「ケッ、愛想のねぇ野郎だ」

 そう吐き捨てて、ツチグモは元の管の中へと戻っていた。
 管をマントのしたのホルダーに収め、改めてツチグモに探させたモノを見る。

「名刺?」

 それはどこにでもあるような、ありふれた四角い紙だ。ただ違うのは、それが名刺だと断定されるだけあってそこにはその持ち主、あるいは関わり合いがあると思われる人物の氏名や住所がはっきりと書かれていた。

 どうやら今回の事件は思っていたよりも速く片付きそうだと、何故だか安堵に似た想いを抱いた。





 月明かりと星明り、それら天然の明かり以外にも人工的な明かりが照らす夜の街をフラフラと歩く男がいる。目は虚ろでその瞳には何も移しておらず、まるで重度の酔っ払いの如き様子で街中を徘徊する。
 そんな男の様子に心配して声を掛ける人も居るが、生返事を返されたり完全に無視されたりで、結局は男に深く関わらず去っていき、今時分が見たものなど既に忘れているだろう。大体にして、この時期にこういう酔っ払いは決して少なくはないのだ。

 だがそんな中、男に話しかけるものが一人。
 それは漆黒の衣を纏った白い面の死神だった。

「古寺弥四郎だな」
「う、あ?」

 死神は一歩、弥四郎に近づく。
 それにあわせて弥四郎も一歩下がる。

「23日前の夜、同僚と飲みに行ったままお前は家に帰らなかったそうだな。 19日前には残業で、14日前は深夜遅くに家を抜け出し、5日前もまた残業で――そして昨日も職場の妄念会の後、オボロ車に襲われたあの日も家に戻っていないそうだな。 そしてそのすべての日に人の手とは思えない力で家屋が破壊されたと言う事件がおきた」
「あ、ううぅ」
「お前が赤マントだな」

 死神――ライドウのその一言と同時に弥四郎は反転して駆け出す。
 道行く人にぶつかりながら、跳ね飛ばし避けて今までの不安定な足取りが嘘のような動きで駆けて行く。

 ライドウもその後ろを逃すまいと、マントをはためかせ駆ける。
 こちらは冷静に人の間を抜け、その背を見失わないように一定距離を保ちながら追い続ける。

 こんな人の多いところで戦闘を開始するわけには行かない。
 このまま追い続ければ、やがて逃げ切れないと悟った相手は――。

 と、その時、弥四郎の姿がまるで何もない空間でまるで穴にでも入ったようにその姿を消す。

「異界に逃げ込んだか」

 ライドウも続けてその後を追う。
 まだ閉じきる前の穴に飛び込んだ先は、そこも先ほどまでと同じ場所。ただし、まわりには人の気配が全くない。

 そここそが人間世界と紙一つ挟んだ悪魔たちが活動できる世界、異界だ。
 本来ならばヤタガラスの使いに異界開きをしてもらって来る場所だが、限定的に開かれた程度のここならば、その手間を省いてこちら側に来ることも可能だ。時々人が迷い込むのもこういった場所である。

 その世界に飛び込んだライドウの目の前、そこには既に繊維状のモノで身体を覆われた、今や完全に赤マントと化した古寺や四郎の姿がある。

「ナンデッ、ナンデ邪魔ヲスルンダ! 俺ハ建物ヲ壊サナキャイケナインダ! ジャナイト、コノ帝都ガ完全ニ復興シタラ、マタ俺ハ職ヲ失ッテシマウジャナイカ! ダカラ建物ヲ壊サナキャ……復興シナケレバ俺ハイツマデモ必要トサレルっ! 役立タズノ人間ニナラナクテイインダアァァアア!!」

 弥四郎の呪詛が込められた叫びが閃光となって口から発せられる。
 ソレは今までライドウが居た空間を切り裂き、辺りに呪詛を撒き散らす。

 閃光を掻い潜ったライドウは素早くマントの下から管を取り出して祝詞を唱える。
 管から召喚されたのは鬼の貌を持つ巨大な蜘蛛、ツチグモ。

「何だ、今度は暴れられるのか?」
「ああ、存分にな」
「ヨッシャアァァ」

 歓喜の雄叫びと共に、現場検証で使った微弱な電撃とは比べ物にならない強力な雷撃が発せられる。
 大気を焼きながら奔るソレに撃たれた赤マントは身体を反らして硬直する。

 その隙にライドは刀を手に奔り込む。
 退魔の力を宿した特製の刀――赤口葛葉の刃が赤マントの身を包む赤い繊維を断ち切る。

 だが、浅い。完全に断ち切るには足りない。
 更に踏み込んでのニ撃目。
 しかし、それは空振りに終わった。

 目の前で突然姿を消した赤マント。その直後に背後に生まれた気配を感じてライドウは前に駆け出す。
 その後ろを出現した赤マントの繊維が形成した槍のようなものが、ライドウが居た場所と逃げ送れたツチグモの身体を貫く。

 致命傷ではないがダメージを受けたツチグモはその怒りに任せて、その巨体を赤マントへとぶち当てる。

 さすがに堪らず、ツチグモに刺さった繊維を引き抜きながら吹き飛ばされる。
 赤マントは吹き飛ばされたまま、ライドウたちに背を向けて再び逃走を開始する。

 ライドウは暴れたりずに不満そうなツチグモを戻してその後を追う。

 ライドウの身体能力は悪魔と渡り合えるように鍛えられているだけあって、常人のソレを遥かに凌駕している。とは言え、俊足の赤マント相手に生身のライドウが追いつくことは不可能だ。このままではいずれ逃げ切られる。
 ライドウは懐から管を出し、駆けながら再び仲魔を召喚する。

 呼ばれた悪魔は、虎の胴、蛇の尻尾、サルの顔を持ったヌエである。
 ライドウは現れた仲魔の背に走った勢いを殺さないままに飛び乗る。

「奴を追え!」
「ウオオォォン! マカセロ!」

 ライドウを背負ったまま駆け出すヌエ。その速さは先ほどまでのライドウよりずっと早く、赤マントと比べても遜色のない早さだ。
 ライドウはその背に背負われたまま、コルトライトニングを引き抜き、その引き金を絞り込む。ダブルアクションのため重いはずの引き金は容易く引かれて、その重厚から退魔の処方をされた銃弾が飛び出す。

 二発は外れ、一発が命中。
 赤マントの動きが少し鈍る。

 だが、それでも決して足を止めないようとしない赤マントの背を、ヌエがライドウを背負い追う。

 いくら逃げようとも、異界において実際に行動できる範囲が決して広くはない。それが限定的に開かれた場所と言うのならば尚のことだ。せいぜいが町一つ分の範囲くらいだろう。
 このまま行けばこの先には川があるはずだ。宿主の知識を持っていればソレくらいわかるだろうに、何故わざわざ逃げ道がないほうに逃げるのか。

 ライドウのその疑問はそこに辿り着いたときにハッキリと回答を提示される。
 あろうことか、赤マントはその川の中に飛び込んだ。
 さすがにこれはライドウにも予想外だった。

 何があるか分からない異界の水中に飛び込むのはあまり得策ではない。
 かと言って、このまま逃すわけには行かない。

 僅かな逡巡の後、ライドウはヌエを管に仕舞い、新たにもう一つの管を取り出す。
 管の中から発光と共に出来たのは――。

「ヒホー、よんだかホー?」

 それは一般にジャックフロストと呼ばれる氷の妖精だ。
 だが、そのジャックフロストは他のとは明らかに違っていた。そのずんぐりむっくりとした雪だるまそのままの二頭身の姿は変わらないが、身に着けているものが完全に違う。
 黒いマントに黒い学生服と学生帽。これが極め付けだと言わんばかりの揉み上げ。

 ライドウのコスプレ(この頃にそんな言葉はなかったろうけど)をしたジャックフロスト。彼こそが自称『十五代目葛葉ライホー』だ。

「ライホー、この川を冷却して凍らせろ」
「お安い御用だホー」

 ライホーから発せられた冷気が見る見るうちに、赤マントの居る川を凍らせていく。
 もちろん、その結果赤マントは身動きが取れない状態で完全に捕獲された。

 必死に凍りついた川から脱出しようと身を捩じらせるが、その程度で壊れるほどに脆い氷ではない。
 そしてその頭上から、今度こそ致命的な刃の一撃が振り下ろされた。



 身の内に潜んでいたヒルコ因子を断ち切られて、弥四郎は異界から通常空間に転移される。
 まもなくこの異界が閉じて、ライドウも元に戻るだろう。だが、そうなったら間違いなく戻った瞬間に真冬の川に落ちることになってしまう。それは避けたいところだが、今からではどうしようもない。 既に異界から通常空間への移転が始まっている。 もはや出来ることは覚悟を決めることだけだ。

 戻ったら、風邪を引かぬよう早々に帰って湯を浴び着替えて床に就こう。
 今後の予定を立てるライドウの頭に、ふと鳴海が見せていた招待状のことが思い出される。

 それこそ今更どうしようもない。
 まさか、びしょ濡れのまま行くわけにも行かないし、例え着替えて行ったとしてもその後体調を崩す可能性が非常に高い。そこまでして行くのは愚かだろう。自分はその使命ゆえに体調は常に万全に整えておかねばならないのだ。

 ライドウが諦観と覚悟を付けるのとほぼ同時に異界が閉じる。
 通常空間に戻ったライドウを待ち受けていたのは――。

 ――大道寺家の大きな扉だった。

「…………」

 呆然とその扉を見るライドウは、ようやく慌てて辺りを見回す。
 しかしいくら見ても、そこは間違いなく大道寺家の前だった。

「どういうい、事だ?」

 こんなことはありえない。
 異界から通常空間に戻る際は同じ場所に戻るはずだ。それがこんな全く違う場所に転移する訳がない。

 何者かの介入と言う可能性も捨てきれず辺りを警戒する。
 これほどのことが出来るのはヤタガラスの使者くらいしかライドウには心当たりがないが、アレがこんな意味のない真似をするわけがない。

 と、警戒するライドウの頭上を赤い影が横切った気がした。

「――!?」

 まさか、まだ他に赤マントが残っていたと言うのか!?
 慌てて顔を上げるライドウ。その手は既に抜刀体勢に入っている。

 だが、視線の先にはやはり何もなく、冬の澄み切った空に星が輝いているのだけが見える。

 その星空を見上げて立ち尽くすライドウ。
 普段の彼を知るものが見れば、他人の空似かと思うくらいに呆けていた。完全に今起きていることはライドウの理解を超えている。思考能力を停止するなど彼には本来絶無のことだ。
 なんだか耳鳴りまでしてきた。遠くのほうで鈴が鳴っているような、そんな音。

 やはり今日はもう帰るべきかも知れない。

 停止した思考をどうにか動かして、そう決心して踵を返そうとするライドウの耳に、耳鳴り以外の音が聞こえた。

「――――さん?」
「え?」
「ああ、やっぱりそうだ。 来てくれたんですか?」
「伽耶さん?」

 扉を開けてこちらの様子を伺っている大道寺伽耶の声だった。

 何という間の悪さ。
 そして、彼女の接近に気付かないくらいにライドウは錯乱していたらしい。これは本格的に休養が必要だ。
 だが、とは言え、今このタイミングで帰るのは――。

「良かった。 もしかしたら来てくれないかと思っていたから」

 その言葉の通り安堵したように微笑む。

 やはりここで帰るとは言い辛い。

「この格好ではまずいでしょ」

 それでも精一杯の抵抗と言うか口実を作ってみる。
 だが、当然ながらそんなものはあっさりと無効化される宿命にある。

「大丈夫ですよ。 そんな正式なものでもありませんから」
「…………らしいですね」

 無駄な抵抗は結局無駄に終わった。
 拒む理由は無いものもなんだかどっと疲れたような気がするので、こんな無駄なことをせずに、早く休みたい。
 休みたいのだが――、ソレと同じくらいたまにはこう言う無駄をするのも良いかとも思う。

 ライドウの様子がいつもと違うことに気がついたのか、伽耶が心配そうに声を掛けてくる。

「あの、どうかしたんですか?」
「いや、ちょっと色々あって――あとこういのには慣れていないから」
「大丈夫ですよ。 家族や友達なんかと楽しむためのものですから」

 それが慣れていないと言うのだが――、いちいち説明するのも大変そうだ。

「あの? もしかしてパーティーに来てくれたのではないのですか?」
「あ、いや……」

 探偵の仕事には人脈は欠かせず、それゆえに社交的必要があるそうだ。
 なんだか自分でも言い訳じみているなと、思いながらも「そうですよ」と頷いた。

 伽耶に案内されて大道寺家の屋敷の中にお邪魔するライドウ。
 もし、このときライドウが空をもう一度見上げていれば見えたかもしれない。

 この時期だけに訪れる、ソリに乗った赤い服を着た翁の姿が。





寝言
偉人サンタクロース光臨。
って事で、赤つながりでライドウで書いてみました。
難しい。時代設定も、ライドウの性格も一筋縄ではいきません。
もう少し探偵モノっぽく出来たらなと言うのが悩みどころです。



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