0 好きな人と仲良く出来ません。 嫌いな人とは仲違い出来ました。 1 ぼくは子荻ちゃんに呼び出されて体育館倉庫へと来ていた。 一時的に同僚になっているとは言え、本来的に敵対関係である子荻ちゃんの呼び出しに対して、ぼく応じる必要性はない。一応の同盟関係というか協力関係を結びはしたが、その原因である泥棒とも先程ぼく自身は話をつけてきたところだ。いや、話を付けてきたなんて格好の付くものでは無かったわけだけど。 とにかく、そうなってる以上は子荻ちゃんの呼び出しに応じる必要性がないどころか、ぼくの迂闊さが原因で小唄さんのことが子荻ちゃんに露見する恐れがある。ならば、むしろぼくは子荻ちゃんとの接触を避ける必要性を所持したことになるわけだ。 それでもぼくが律儀に子荻ちゃんとの約束どおりに体育館倉庫へと向かったのは、いつものように状況に流されているだけという訳では決して無い。まるでないとは言わないけど。 ここでぼくが子荻ちゃんの呼び出しを無視した場合、子荻ちゃんに余計な警戒心を与える事になってしまう。もちろん、ぼくが子荻ちゃんの信頼を勝ち得ているなどとはまるで思わないけれども、だからと言って好んで敵愾心を買おうとは思わない。それで子荻ちゃんの隙をつけるというのならまだしも、あの策師にそんな挑発が通じると思えるほど、ぼくは能天気な人格を有することができる人生を歩んできていない。 そんな そう考えての事だった。 そう考えてしまったのだ。 だから、ぼくは肝心の子荻ちゃんが一体何の話をするつもりなのかを全く考えていなかった。 子荻ちゃんは進展があったようなことを言っていた。それはもちろん進路指導室が荒らされていた一件に関してのことだろうし、つまるところ犯人である小唄さんへと通じる情報だろう。子荻ちゃんが言う進展ならば誤りなく詰みへの一手であろうととは疑いようもない。ならば、そこまでの情報を得た彼女から小唄さんの存在を隠し通せるわけもないのに。 ぼくは脳天気にも体育館倉庫の前へと立って、まったく別のことに考えを向けていた。 ぼくが散々に体育倉庫の機密性について非難したが、そうなってくると子荻ちゃんが体育倉庫を選んだ理由が不明だ。もちろん、先程の意見はあくまでぼくの私見であり、ぼくごときの浅はかな考えなど、悪魔が相手でも全席指定で不意討って見せると豪語する子荻ちゃんに及ぶものではないが、だからこそ彼女の考えが読めない。 子荻ちゃんはああ言ったが、一度は侵入を許した理事長室がそのままの隔絶能力だとは思えなかった。再建するに当たって、より強固になっているだろうことは予想がつく。 ならば、それはぼくを理事長室に近づけたくはないということなのではないだろうか。 「いや、それも強引な話だよな」 あの子荻ちゃんがその程度の低レベルな誤魔化しをするとも思えない。 結局のところ、現状は子荻ちゃんに主導権を握られているというわけだ。 まあ、いいさ。主導権を握られるのは嫌いじゃない。 それが子荻ちゃんのような可愛い――いや、今は綺麗な女の子ならば尚更だ。 「軟派な戯言だよなあ」 まあ、ぼくだって自分が硬派だとは思わないけど。 ぼくはいつもの逃げ口上を呟いてから、体育館倉庫の扉に手をかけて横に引く。多少の重さを感じながらも、スムーズに開かれる扉の向こうで子荻ちゃんが待ち構えていた。 うん、どう考えても告白イベントって雰囲気じゃない。 いじめってレベルにも、もちろん見えないけど。 ボス部屋を開けたって言う感じだ。 「思ったよりも早かったですね、詐欺師さん」 「これでも、年下の女の子をあまり待たせちゃいけないって躾られてるからね」 もちろん、親にではない。 同じアパートに住んでいる年下の女の子にだ。 「それはそれは、中学生に遊園地の入場料を奢りもしない成人男性が存在する世界で、良い心がけですね。 まあ、既に成人となった私を女の子と表するのもどうかとは思いますが」 まあ、年下ならば女の子でも間違いではあるまい。 初対面の印象が強すぎて、未だにあの頃印象を引きずっているというのもある。 っていうか、子荻ちゃんも随分と変わった喩え話をするものだ。 「それで、石丸小唄とはどのような話をしてきたのですか?」 反応をするべきではなかった。 しかし、その唐突な言葉にぼくの意識は白く塗りつぶされた。 その空白の無反応という反応だけで、子荻ちゃんに取っては十分すぎるだろう。いや、ぼくの反応云々なんて関係なく、そもそも子荻ちゃんの言葉には確信があった。 「いやいやいや、何言ってるの? そんな石丸小唄なんていう性根の悪い大泥棒となんて会ってるわけ無いじゃないか。 変な言いがかりはしないでもらいたいなあ。 これでも請負人は信頼商売なんだから泥棒と関係があるというだけで、ぼくの営業妨害だよ」 それでも誤魔化そうとするぼくも、いい加減に往生際が悪いと思う。 そんなぼくに引いた目で見ながら呆れた嘆息をしてみせる子荻ちゃん。 「貴方の商売はどうか知りませんが、貴方と石丸小唄の関係に関しては既知のものです。 4年前の戦争未満で終わった祭りでも貴方が彼女に色々と助力を頼んでいたことも調べてあります。 現在も貴方に縁のある人物が彼女のもとに――いえ、これは余計なことでしたね。 ですから、そのような顔で睨まないでください」 「別に睨んでは――いえ、そうですね。 すみません」 やれやれ、本当にぼくは変なところで心が狭い。 ここで子荻ちゃんに対してキレたところで何の進展もメリットもないというのに。 そもそもが筋違いだろうに。 「でも、それだけでぼくが会いに行ったのが小唄さんだと?」 「いえ、他にもあの様に荒らしたわりに何の証拠も見せないような大胆で不敵な手際を所有している人物となると限られます。 何よりも、貴方が仰ったのではありませんか。 これからお友達と会いに行くと」 「春日井さんのことかもしれないじゃないですか」 「彼女を貴方の方からお友達と表現するとは思えません」 うん、まあその通りだ。 春日井さんとの関係は、彼女自身が言ったものは論外にしても友達かと聞かれれば首を傾げる。 結局のところ春日井春日という存在そのものが異質なのだ。選ばない彼女に取って関係性すらどうでもいい。無関係ではなく、なんでもない関係。行きずりの関係だ。 「その表現もどうかとは思いますが。 まあ春日井さんのことは良いのです。 それに石丸小唄とは関係のある人物が学園にも居るものですから、その方の話からも『お友達』という表現で引っ掛かるものがあったのです」 「それって、もしかして市井遊馬さんですか」 「おや、ご存知だったのですか」 ご存知だったわけではない。 それでも小唄さんがこの学園にいる名立たる人物の名を挙げたときに、彼女の名前が出てこなかった事への違和感。 「でも、知ってたなら話は速いね。 これでぼくらの共同戦線はお終いかな。 随分と短くてあっけない幕切れだけど、意味が無いことを続けるほど、ぼくはとにかく子荻ちゃんにとって無意味なものもないだろ」 「おやおや、随分な言い草ですね。 さすがは詐欺師さんです。 結んだ関係を一方的に破棄するとは最悪ですね」 最悪の呼び名は出来れば遠慮したいところだけど、それにしても子荻ちゃんってこんな冗談を言うような子だったどうか。 いや、冗談というならばもっとキツイ奴を教員室で言われているけど。 うーん、これも年月による変化なのかな。 「だけど、実際にこれ以上は協力体制は無意味だと思うけど」 「そうでもありませんよ。 貴方が石丸小唄と関係があるというのならばそれを策として、彼女を捕らえる協力をしてもらえば良いではありませんか」 なるほど、変わったとは言え策師としての本分までもが変わったわけではないか。 そこら辺は本人も言っていたが染み付いてしまって、もはや変えられるものではないのだろう。 ぼくの戯言同様に。 「その程度のことであの人を捕らえるなんて事が出来るのかは、ぼくとしては疑問だけどね」 「安心してください。 策を練るのは私です」 なるほど。 大した説得力だ。 しかし、そうなると協力体制というよりは一方的な利用なんじゃないだろうか。その方が分かりやすくはあるけれど、なんとも複雑な気分だ。 ぼくとしては、子荻ちゃんとの共同戦線というのはそれなりに魅力的ではあったんだけどなあ。 いっそのこと積極的に協力して、小唄さんを相手取ってみるというのも面白いかもしれない。 「それも戯言か」 「何かおっしゃいましたか?」 「いや、そういや言うけど実は子荻ちゃんのすごい所って全部伝聞で、実際にこの目で観たことないなあ、って思ってただけ」 「…………」 あ、すごい目で睨まれた。 うーん、子荻ちゃんって冷静そうに見えて結構矜持が高いというか、感情的だよなあ。 傍観者を気取ってたくせに、簡単に熱するぼくとそういう意味では確かによく似ている。 「やはり、貴方には私に対する認識を徹底的に改めさせる必要性があるようですね。 ええ、本当にこれは良い機会に恵まれたと私にしては珍しく、偶然に感謝したい気持ちです」 「珍しいことすると死亡フラグが立つって言うよ」 「そのような法則、無為式の貴方の側に居れば問題なさそうですけどね」 大して期待もしていないという感じで言う子荻ちゃん。 まあ、ぼくも軽口で言ったわけだし、マジで答えられても困るんだけどさ。 「ぼくとしては不本意な結果になったけれども、話もまとまったわけだし、教員室にでも戻ろうか」 小唄さんという侵入者に付いては、まあバレてしまったわけだし、ここに来た目的である話し合いは成立しなくなった以上、とどまる必要性もないと思っての発言だった。 だけれども、子荻ちゃんは何故かそこで怪訝そうに眉を潜め、不思議そうに首を傾げていた。 「何を言っているのですか。 ここに呼び出した本来の用事は終わっていませんよ」 「学園への侵入者、つまりは小唄さんのことなら今しがた発覚したんだから、これ以上話すことはないと思うけど? それとも、早速にぼくを利用した策の相談でもするのかな」 「いえ、そちらのほうは貴方には内密で進めたほうが良いと判断しているので、話すことは何もありませんよ。 貴方が関わってしまえば私の策といえども綻びが生じかねません。 それに、その話はこちらに来てから浮かび上がった話で、本来の用事というわけではありません」 ふむ、まあぼくごときの存在が子荻ちゃんの策を乱すとは思えないけども(さっきは挑発の意味も兼ねてあんな事を言ったけれども、ぼくだって子荻ちゃんの図抜け具合は心得ている)、ぼくを参加させないというのなら余計な手間が無くなって助かるところだ。 でも、うーん、それ以前にぼくに用事ってなにかあるのか。 「幸いにして、必要なモノは生徒たちが協力して既に運び込んでいるので、私は伝えるだけで済む用事です。 特に抵抗なく、手伝ってくれたということは、貴方も生徒たちにそれなりに受け入れられているようですね」 クスリと笑う子荻ちゃん。 それはぼくが受け入れられているのではなく、子荻ちゃんが慕われているというだけだとも思うが。 やれやれ、子荻ちゃんも全体を見通して策を練る割には自分のことは見えていないんだなあ。 「でも、運びこむって何を」 「まあ、色々ありますが、とりあえず布団ですね」 は? 布団? なんで? 「体育館倉庫ですからマットで代用するというのもあるでしょうが、所詮は代用、さすがにそれでは硬いでしょう。」 「えーと、いまいち子荻ちゃんが何を言っているのかぼくには分からないんだけど」 「簡単な話で、ここで寝てもらいます」 子荻ちゃんは言う。 「今晩の貴方の寝床はこの倉庫です」 2 一日で調査が終わらなかったらどうするんだろうと、考えたのは確かだった。 まさか一度アパートに戻るわけにもいかないし。そうなると、後は近くの宿泊施設を借りるか、この学園関係の寮などを利用するのかとも思ってはいたが。 「まさか、体育館倉庫で寝ることになるとは」 一体ぼくが何をしたというのだろうか。 いや、今日一日を使っても結局何も進展しなかったのか。 しかし、だからと言ってこの状況はあんまりにも予想外過ぎる。 言うまでもなく、本来人が寝るべき場所、どころか居住にするように設計されていない倉庫に所狭しと置かれて体育器具の数々。その間隙に置かれた布団の中から真っ暗な天井を見上げて嘆く。 「せめて、保健室とかじゃ駄目だったのだろうか」 言ったことはないが、あそこならば予め用意されているベッドだってあっただろうに。保健室で寝ているというのも、何だか授業をサボっているような気分にもなるが、それでも体育館倉庫で寝かされるというイジメみたいな想いをするよりはマシだろう。 「っていうか、哀川さんはそこら辺、何の手も打っておいてくれなかったのかよ」 偽装書類とかは簡単に手配するくせに。 ぼくは大分、暗闇に慣れたところで身体を起こして、改めて周りを見渡す。 先程までは暗闇のなかで圧迫感を感じていたが、こうして目が慣れてくれば倉庫の広さが伺える。さすがはお嬢様学校と言ったところか、器具も豊富で数も取り揃えられているが、それでも十分に余裕があるだけの広さを持っている。 さすがに鴉の濡れ羽島の倉庫ほどの広さではないが、それでも骨董アパート時代のぼくの部屋よりも広い。これならば、一泊の宿とするには確かに十分だろう。 だったら、何だって最初にあそこまで悲嘆に暮れてたのかといえば、単純に雰囲気でのノリだ。 「ようするに戯言ですね」 とはいえ、さすがに最初に聞かされたときは子荻ちゃんに抗議もした。 しかし、どうやらこの学園には男子寮なるモノは存在しないらしい。だったら、保健室をとも言ってみたが、あそこには春日井さんが寝泊まりしていると言う情報を聞いてぼくの方から断った。思い出すのは、あの短い同居生活の思い出。 ならばと、冗談で子荻ちゃんの部屋に泊めてと言ったら、顔を真赤にして怒られた。 あたりまえだけど。 で、結局、この倉庫で寝ることになったのだが、ぼくの迂闊な発言がいけなかったのだろうか。子荻ちゃんに倉庫の扉を外側から鍵をかけられてしまった。もちろん、倉庫の鍵は内側から開けることは出来ない。 つまりは閉じこめられてしまったわけだ。 体育館倉庫に監禁というのも背徳的だけど、閉じ込められているのがぼくのような成人を迎えたヤロウでは何の色気も感じられない。七々見の奴がそんな漫画を書いていたような気もしたけど、きっと気のせいだろう。 「それにしても、夜の校舎かあ」 不気味な場所の代表格として語られるシチュエーションだが、ぼくはそれとは別の理由で緊張してしまう。 4年前にこの学園に2度訪れたが、その2回とも地獄を見せられた。 一度目は病んだ蜘蛛によって、二度目は狐の亡霊に。 どちらも忘れたくても忘れられない記憶だ。 それだけに緊張をしいられてしまう。二度あることは三度ある、だ。 「そうそう在って堪るかってんだ」 ぼくは不安を否定するために毒付く。 やれやれ、夜の校舎が怖くて独り言とは、ぼくの戯言もいよいよ持って安くなってきたな。 その視点で考えれば扉にかけられた鍵もぼくを快適から守ってくれる防護壁と考えられなくもないかもしれない。 「今までの危機レベルを考えると障子紙みたいなもんだけどね」 その言葉に応えるように、扉の方から音がした。 固い金属質のモノが断ち切られるような音、床に落下して激突した音。 まるで頑丈な錠が強引に断ち切られて落下したような音。 「おいおい、マジかよ」 ぼくはさすがに完全に立ち上がって、警戒レベルを引き上げる。 いきなり扉に近づくような愚行はしないが、必要以上に距離を取ることもしない。あちらが誘導で、離れたところを張っているなんてこともありえる。 「…………」 しばらく、扉を睨み続けるが変化はない。 扉以外からも何かが飛び出してきたりする様子もない。 「おいおい、自分で開けたんだからもう鍵はかかってないのは分かってるだろ。 遠慮せずに這入ってこいよ」 挑発の言葉を投げかける。 そう言えば、子荻ちゃんを挑発したときは肩を外されて、さっきも睨まれたんだっけか。 そして、零崎愛識には背後を取られた。 「…………」 だが、それでも扉の方からも反応がないし、後ろから声を掛けられることもない。 ふぅん、あくまでダンマリか。 ぼくは、いつでも動けるように構えていた足を踏み出す。 扉の方へと、いっそ無遠慮に無警戒に歩き、閉ざされた扉を容赦なく開け放つ。 静まり返った体育館には扉の開閉音が必要以上に響き渡ったが、それだけだった。暗闇に支配された空間が反響を繰り返し、それすらも終わればまた静寂に戻る。 ぼくは目の前の暗闇から足元へと視線を向ける。暗闇にある程度慣れていた目は苦労せずにソレを見つけ出すことが出来た。 予想通り破壊された錠が落ちている。 ぼくはさすがに警戒しながらしゃがみ込んでそれを拾い上げる。 錠はほとんど破壊痕がなかったが、ただ一点、綺麗な断面を除かせた金属部が見える。 鋭いモノで、されど強引に断ち切られた断面。 「何だってんだ、一体」 まったく訳がわからない。 こんな芸当をしそうな登場人物は玉藻ちゃんくらいしか今のところ出ていないが、彼女がこんな事をする理由がない。ぼくを殺しに来たというならまだしも、鍵だけを壊して去っていく理由など皆無のはずだ。 「久々につまらなくなって来やがった」 乱暴に吐き捨てて、手に持った錠もついでに乱暴に投げ捨てる。 再び激突音が体育館に響き渡る。その残響も完全に収まるのを待ち、ぼくは行動に移る。 完全に、頭から眠気は晴れて思考はクリアだ。 ぼくが何故こんな時間まで布団に入ったまま寝もしないでいたのか、別にそれは体育館倉庫に寝かされる境遇を嘆いていたわけでも、夜の校舎がかつての苦い経験を思い出させたからでもない。 子荻ちゃんがぼくを倉庫に残して立ち去るときに、ついでのように、ツマラナイ世間話でもするように、まるでその話のほうが本命であるかのように言った一言について考えていたからだ。 「この学園に貴方と石丸小唄以外にも侵入者がいる可能性が出てきました。 貴方にはそちらを担当していただきたいと想いますので、よろしくお願いします」 本当に子荻ちゃんは変わったと思う。 根本的には策師であり、何よりも澄百合学園の生徒というのは覆し用もなく根が張っているが、それでも萩原子荻という少女は立派に成長している。 それを、様々とぼくに見せ付けてくれた。 危うく魅入られてしまいそうになるくらいに。 だったら、次はぼくの番だろう。 いくらなんでも年下の女の子にいい格好ばかりさせるわけにはいかない。 次はぼくの成長を魅せつけてやるとしよう。 「さあて、それじゃあ戯言と行きますか」 ぼくは行動を起こす。 傍観者であることは既にやめたのだから。 |